塚原沙智子研究会での取り組み
"ごみ削減・資源循環" "省エネ行動"に対するアプローチ
省エネを促す行動変容
SFCでは、年間約460万kWh(2022実績)もの電気を消費しており、環境にも経営にも大きな負担となっています。行動変容を促す手法である「ナッジ」を用いたポスターにより、空き教室での照明・冷暖房の利用を回避する行動を促しました。
SFCでは、利用されていない教室の3~5割で、照明と冷房が付けっぱなしとなっており、無駄な電気利用が多い状態でした。そこで各教室にスイッチOFFを促すポスターやPOPを掲示することにより、行動変容を促しました。ポスター等の掲示前後を比較すると、付けっぱなしの割合が約半減するなど大きな効果がありました。省エネ設備への転換などの対策よりもコストがかからない為、多くの施設に応用可能です。
また、調査の中で、指定された自習室以外の空き教室が少人数に利用されている実態も分かりました。そこで、図書館や指定された自習室を利用することで、空調の効率的な利用を行うよう、趣旨を説明したポスターを掲示し、呼び掛けました。今後も様々な工夫により、省エネ行動を定着させるための研究を行います。
※ナッジとは英語で「Nudge」と表し、「ひじでそっと突く、軽く押す」という意味の言葉。人の行動を後押しする仕掛けとしてマーケティング、政策など様々な場面で用いられています。
ごみのリデュース 〜マイボトル・ウォーターサーバー・リターナブル容器〜
SFCでは多くの学生がレストラン、食堂、コンビニ等を利用しており、大量のペットボトル飲料やプラスチック容器が廃棄されていました。そこで、再利用可能なプロダクトを導入することによりその改善を行いました。
コロナ禍で給水機が閉鎖され、キャンパス内に学生の利用できる無料の給水所が殆どありませんでした。そこで、ウォーターサーバーの設置を試行するとともに、生協と協力して慶應の公式マイボトル販売を行いました。ウォーターサーバー導入後は、500mlペットボトル換算で、67本分/日の水が給水されました。(2024年度からはウォーターサーバーは本導入されます)
また、カフェテリア レディーバードにおいて、テイクアウト用に洗って何回も利用できるリターナブル容器を導入しました。
リターナブル容器の選択率約60%で、使い捨て容器よりも多く選択されています。これにより、ごみ削減に貢献しました。使い捨てプラスチック容器は値段が上がっており、店舗の経営面でも負荷の削減になりました。
ごみ箱のリデザイン
これまでSFCでは、一般ごみと缶・瓶・ペットボトルの2種類のごみ箱しか設置しておらず、資源の適切な回収が行われていませんでした。ごみ箱の増設と種類の多様化を行いごみの分別を促進しています。
SFCでは分別の種類が少なく、利用する人の意識も実際の分別率も、5割以下と低い状況でした。
そこで、ごみ箱の設置状況と分別状況を調査し、分別の種類を増やすとともに新しいごみ箱のデザインを検討しました。中身が見える形状への変更などハード面の対応と分別の種類を示したラベルやガイダンスの掲示等によるソフト面からの多角的なアプローチを行い、ごみの分別を促進しました。今後は、効果を定期的に測定しつつ、分別を促す追加施策を展開します。
"営農型太陽光発電"に対するアプローチ
営農型太陽光発電の先進地の調査と藤沢市への導入可能性の検討
SFC周辺には農地が多いことに着目し、営農型太陽光発電(営農型PV)の先進地を調査しSFC内外への導入可能性について検討しました。その後、調査結果を藤沢市職員の方へのプレゼンテーションを行いました。
2023年8月上旬に、営農型PVをテーマに特別研究プロジェクトを実施しました(教員:塚原沙智子准教授、有野洋輔特別招聘准教授)。内容は、スマートブルー社所有の発電所(神奈川県茅ケ崎市、静岡県磐田市、静岡市)の視察、社員の皆様による研修ミーティング、高校生(SFC中高)と大学生による遠藤地区・藤沢市の未来に向けた営農型PVの波及効果の検討、藤沢市役所で研究報告を実施しました。
SFC内外で営農型PVの実証を始めることで、人・知識・資源の循環の要となるハブ機能が創出されると共に、豊かな自然が維持され、地域や街全体が持続的に発展し、より多くの人でにぎわう未来へつながる可能性が示されました。長谷部研究会の管理農地での展開可能性は鋭意検討中です。