今回のお題は、フリーテーマとのことなので、ちょっとした旅行中のハプニングをお伝えし、中国や米国へ旅行を計画している方への参考となれば幸いである。
さて、6月中旬、中国の敦煌で開催されたマイクロソフトリサーチアジア(MSRA)主催の研究成果発表会に参加した。実は、新型インフルエンザの影響で、会議自体も中国ではなく、日本で行われる可能性もあったのだが、中国側の対応も柔軟になり、当初の予定どおりシルクロードの街として有名な敦煌で開催されることとなった。北京からワンポップで敦煌へ行くと聞いていたので、飛行機が着陸後、東大の米澤先生と談笑しながらBaggage Claimへと向かった。しばらく話をしていると、なんと、2人の荷物が出てこないのである。さらに荷物を待っていると、飛行場の人が来て、「飛行機に戻ってください!」とのことである。ゲートへ戻りながらすぐ理解できたのであるが、この飛行機は、北京から敦煌へのノンストップ直行便ではなく、一度、別の都市にストップする便であったのである。人の思い込みは、恐ろしいもので、e-ticketにその都市名なども一切記載されていなかったので、敦煌と信じきっていたのである。もう一度飛行機に乗り込み、無事、敦煌に到着した。
敦煌の街は、予想以上に整備されていた。昨年の北京オリッピックに間に合わせるように観光用の道路やホテルなどのインフラが急ピッチで整備されたとのことである。メインストリートは、日本の地方の観光都市と比べても、かなりモダンに整備されていた。夜に、参加者の方々と市内のストリートマーケットを散策した。いろいろな地元の特産品を売っていたのだが、特に目を引いたのが、ドライフルーツ、西瓜、木彫りの絵、夜光杯、昔の壁画の複製画などである。
驚いたのは、値段があってないようなもので、同行したMSRAのHon所長が、どんどん交渉してくれると、どんどん値段が下がってくるのである。30%offぐらいは、当たり前のようである。私は、砂漠とラクダを題材にした木彫りの絵を購入したのであるが、作者の名前がどの作品にも書かれていないので購入した木彫りの絵に書いて欲しいとお願いすると、すぐに裏面に鉛筆で『千健』と名前を書き、さらにそれを彫ってくれたのである。通常作品の場合は、もっと複雑な絵を下書き無しで、直に彫っていたので、自分の名前を彫るのは、よほどまれのことだったのであろう。敦煌といえば、シルクロードの街として有名であるが、砂漠のオアシス月牙泉などのイメージであろう。
さて、一番のハプニングは、敦煌からPittsへの移動日に起こった。無事、敦煌空港を予定どおりに飛び立ち、12:35ごろに西安に到着した。予定では、14:10発のMU2107便で北京に向かい、北京から18:25発のUA898便でワシントン/ダレス空港に同日19:56に到着し、21:55発UA7685便で23:01にPittsに到着する予定であった。ところが、西安についたところ、午前中に出発予定であった北京行きの便がすべてキャンセルになっているである!なんでも、雷雨のため、北京空港では離着陸がまったくできないのだという。我々のMU2107便も「延期(無期)」とホワイトボードに乱雑に書いてあった。窓口にいって確認すると、いつ再開するかはまったくわからないという。これまでのケースで、最大何時間待ちになるのかと聞いても無反応である。北京では、2時間20分しかゆとりがない。いやーな予感がした。
結局、我々は、6時間以上、西安空港のゲートで待機し、18:30過ぎに西安からなんとか飛び立ち、北京に到着した時は、すでに20:30を過ぎていた。この後が、また大変で、中華東方航空のカウンタに、乗り継ぎをミスした人が10数名も列を成していた。私たちには、なんとか宿泊用ホテルが用意されたが、何処の何と言うホテルかも知らされないまま、とにかくバンに乗れという指示である。まったくの、ブラインド・トラスト状態で車にのり、連れていかれたところが名前もわからない国内旅行者用ホテルのようである。フロントにも英語が辛うじて通じる女性が1名いるだけである。明日の出発時間も筆談で確認となった。私が通された部屋は、エアコンはあるもののリモコンはなく、電源ケーブルを直接差し込むことで起動するという状態であった。さらに驚いたのは、トイレである。トイレへのドアが壊れているらしい。明らかに外されているし、トイレへのステップは、白くかけている。なんとかベットで数時間寝ることができた。
翌朝、7:30に空港へ向う。やはり、私たちと同様に昨日フライトをミスした人たちが列をなしていた。我々は、気転をきかして、西安から東京の旅行代理店に電話し、フライトの変更を申し込んであったので、ここは非常にスムースにチェエクインすることができた。予定とは違うUA888便に乗り、サンフランシスコ−シカゴ経由の1日遅れで、なんとかPittsburghに到着した。本来、IEEE INSS2009のはじめにCMUのかつての同僚であったRajkuma教授とともに大会委員長として挨拶するはずだったのが、残念ながらその機会を逸してしまった。学生諸君たちの論文発表やポスター・デモも無事終わり、皆とともに無事帰路についた。
実は、最後にもう1回、雷雨のハプニングがあった。私たちが予約したUA7685便は、10:37発シカゴ行きであったが、日本から来られていた何人かの先生方は、朝8時台の便でシカゴに向かおうとされていた。なんと前日、シカゴで激しい雷雨があり、朝の便の飛行機がPittsに到着していないとのことであった。シカゴに向かわれたと思っていた先生方がゲートにいるのである。さらに、わかった事は、全日空の便でシカゴから帰国する予定だった先生は、なんと代替のUA便が満席で取れず、他のUA便でシカゴから香港に飛び、翌日、ANA便にて羽田に5:45到着といった過酷なフライトになったようである。
くれぐれも梅雨の時期の旅行では、雷雨にご用心の程。
といっても、手も足もでないかもしれないが。
(掲載日:2009/07/21)