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2009.11.19

21世紀の街|村井純(環境情報学部長)

昔見たSF映画や鉄腕アトムのような漫画。今思い起こせば、街の風景に科学の未来へのイマジネーションがたくさんある。あのとき想定していた時代はいつだったのか。よくみりゃあの時書かれていた「夢の21世紀の年」はもう過去になった年もある。あの「21世紀」が実現されている街を体験できてしまうのは世紀の変わり目を生きた者の特権だ。

まず、漫画や映画にどこでも出てきたのが、今でいうビデオフォン、テレビ電話。すっかり完成している。SF的にはいろいろな場面で使われていて、本当に夢だったのだろうけど、以来、何度も商品化も失敗。結局、インターネットとWEBカメラと、ケータイですっかり当たり前になった。技術もインフラもサービスもある。夢は実現した。(のか?)

街といえば、よく独裁者が市民に呼び掛けるような街にある大きなスクリーンやディスプレイ。これも、思いっきり実現している。あれは今でいえば放送とサイネージの融合のようなもんで、技術的にはすっかり整ったと言っていい。NYのタイムズスクウェアも新宿東口も、六本木交差点もサイネージの嵐だし、あれがインターネットとつながることで昔の独裁者も今の「ともだち」もすっかり市民を制御することもできるだろう。SFCっぽい。これも夢は実現している。(のか?)

そういえば立体テレビも昔からよく出てきた。今や中身が整った。テレビ映像の記録はカラーで始まったのが先代皇太子ご成婚のときから、立体ハイビジョンで記録され始めたのは今の皇太子ご成婚のときから。そして今はコンピュータグラフィックでアニメが作られる時代。つまり、ほとんどの映像は立体コンテンツになる。3次元映像普及の挑戦は何度もやってきたけど、実像もアニメもリアルタイムもコンテンツがある今回は本物かもしれない。だって映像機器の展示会が世界中で3Dばっかりになってきた。ところで、この研究開発にSFCや慶應のグループと慶應の卒業生が大活躍している。夢は実現した。(のか?)

「流星号応答せよ」といって、腕時計のスクリーンに話しかける漫画、「スーパージェッター」の話はついにほとんど学生に通じなくなった。説明するのもなんだけど、ここで応答する流星号というは必要な場所に自走してくる乗り物。この場面、腕に巻ける小さなスクリーン、無線の通信、安全に自分で走行する自動車(の進化形?)、どれも完成している。SFC(の研究)では。

夢を実現するのはSF小説でも漫画でも映画でもない。もちろんできている先端技術だけでもない。先端技術を生み、人のために社会が創られないとできない。それを動かす人がいないとできない。

そう、全部やります、SFC。

(あ、空飛ぶ自動車。全然できてない。できる のか?)

(掲載日:2009/11/19)