SFCスピリッツ
SFCスピリッツで、起業!
株式会社アゲハ代表取締役
2008年総合政策学部卒業、2010年政策・メディア研究科修士課程修了
私にとって、SFCは、「人生を変えてくれた場所」でした。
高校時代、都立の進学校(受験指定校)に通っていた私は、「理解」「暗記」をスピーディに繰り返す教育にどうしても馴染むことが出来ず、ついに高校3年時に高校を自主退学してしまいました。両親は失望し、周囲からは、「劣等生」「落ちこぼれ」として見られました。ただ、自分で、自分を諦めたくはない―。必死の思いで、渋谷109で販売員のアルバイトをしながら、留学をしたり、大検をとって専門学校に通ってみたり・・・「自分の道探し」をしていました。
SFCに出会ったのは、19歳の時。友達に「変わった大学がある」と聞いて、調べてみたところ、SFCの理念に触れ、初めて自分の存在が認められたような気がしました。
「問題発見・問題解決」、「社会に活かしてこそ学問の意味がある」、「極端であれ!」といったメッセージ達―。ここなら、「自分の道」に出会えるかもしれない、と一念発起し、猛勉強の末、入学試験に合格することが出来ました。
SFCに入学してからは、「カルチャー・ショック」の連続でした。これまで出会ったことのないタイプの面白い“優等生”達がいて、何かを“変えよう”というプロジェクトが乱立し、“世界観”を変えてくれるような授業があって―。初めて、「自分の居場所」と感じることが出来、まさに「水を得た魚」のように、SFCでの様々な活動に没頭しました。これまで、(父の転勤の都合もあり)1つの学校に通い続けたことがなかった私ですが、SFCには、大学院も含めなんと6年半も居座ってしまいました(笑)
SFC在学中に最も悩んだことは、私を奮い立たせてくれたSFCの理念を、実際にどのように実践したら良いのか、ということでした。そこで、私は、自らが構想するより良い社会の在り方を、ビジネスモデルの形に落とし込み、成功モデルを確立する、という発想を持つようになりました。つまり、ビジネスと研究を両輪として、新しい仕組みを創っていくという活動スタイルです。
具体的には、「ユーザーの声から、ヒット商品を継続的に生み出す仕組みづくり」をミッションとして、2008年4月に株式会社アゲハを設立し、その実践データをもとに修士の研究を行いました。卒業後も、国内外の学会に参加するなど、アカデミックな視点を持って、活動しています。
実際、ビジネスマンとしても、研究者としても、未熟な私が、その両方をいっぺんに成功させようなど、とても無謀な挑戦だったと思います。実務経験も資金も業界知識も業界ネットワークもないままに起業し、失敗も無力感も何度も味わいました。修士課程在学中は、ビジネスの時間に追われ、研究がおろそかになってしまうこともありました。また、「モノを作って売る」という従来のビジネスモデルでも難しいのに、産業構造を変えるイノベーティブな構想など、とても大それたことのように感じることもありました。
ただ、苦しい時でも諦めずに続けていると、いつもぎりぎりのところで、周囲が救いの手を差し伸べてくれたように思います。SFCの先生方、偉大な先輩方、友人たちも、いつも気にかけて下さり、積極的に支援して下さいます。また、SFC入学時からずっと親友として一緒に成長してきた、アゲハ取締役の田中里実は、大企業で活躍する資質を十分に備えながらも、卒業後も私と一緒に茨の道を進むことを決断してくれました。私が自信喪失している時、「頑張ろうよ、私も頑張るから」と彼女が言ってくれると、何でも出来る気がしてくるのです。
SFCで、私は、自らのコアとなる世界観を養い、生涯の親友や同志、師を得ました。
私の挑戦は、まだまだ発展途上ですが、いつか必ず、SFCスピリッツを成功に繋げ、そして、SFCに恩返しをしたいと考えています。
株式会社アゲハ【ユーザー・イノベーション・ラボ】:http://www.facebook.com/ageha.jp
木下優子さん個人FBページ:http://www.facebook.com/yuu.kinoshita0803
(掲載日:2011/07/29)