SFCスピリッツ
残暑見舞いfrom Indonesia
寺島弘太郎さん
1995年総合政策学部卒業
東急不動産株式会社勤務、2007年よりジャカルタ駐在
午前3時。「アッラー○△※×□〜」暗闇にスピーカーを通じて大音響のコーランが響き渡る。そして「サフール、サフール」と叫ぶ子供たちの声。サフールとは断食前の食事のこと。2010年8月、ここインドネシアはラマダン(断食月)に突入。イスラム教徒はこれから1ヶ月間、日の出から日の入りまで一切の飲食を断ちます。だから日の出前に朝食をとるわけです。もっとも私はイスラム教徒ではありませんので断食はしません。ただラマダンの間は街中のレストランでアルコール類が飲めなくなったり、閉店している店が多かったり、何かと不便。ラマダンの間、多くのイスラム教徒は宗教心が通常よりも高まります。インドネシア人を尊敬する瞬間というのははやりラマダン中が多いですね。
さて、人口2億3千万人(うちイスラム教徒87%)、平均年齢27歳、資源に恵まれ、政治の安定を得たインドネシアは現在大変活気に満ちています。私は2007年からこの国の首都ジャカルタに駐在し、住宅分譲事業に携わっています。顧客はインドネシア人の中間所得者層。ローカルに根ざした事業展開を行っているため、社内言語はインドネシア語です。大学時代に「珍しいから」という理由で履修した野村教授のマレーインドネシア語インテンシブが15年の時を経て初めて実践される日がやってきたわけです。
先日、日本人学校やJICAでの活動を通して日イ友好に尽力されてこられた原さんという老夫婦が元使用人のインドネシア人の若者に殺害されるというショッキングな事件がありました。その葬儀において、遺族を代表して息子さんが「私たちはインドネシアを愛していました。今後もその気持ちに変わりはありません」と述べられました。なんという強い信念でしょうか。私も仕事を通じて何をこの国に残せるか。問い続けています。
今年の日本の夏は酷暑のようですね。お体に気をつけて、お互い頑張りましょう。
(掲載日:2010/08/16)