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2009.01.29

人生の方向転換とメディアアート

SFCスピリッツ

人生の方向転換とメディアアート

久納鏡子さん久納鏡子さん
メディアアーティスト
1995年環境情報学部
1997年政策・メディア研究科修士課程

小学生の頃、社会と工作の授業が得意だった読書好きの少女は、大学生になり人と人、国と国がどのように関係を作って社会を作っていくのか興味を持ち、国際政治の勉強をするためにsfcに入学しました。

sfcでたまたま藤幡正樹というメディアアーティストと坂根巌夫というメディアアートの評論家の授業をとったことで、進路を180度転換させることになります。

授業では、自分たちが当たり前に使っていたコンピュータや技術というものが、人間にとってどのような意味を持つ道具なのかを問い直し、技術やコミュニケーションメディアを題材にした作品や作家を知ることになりました。そこで、昔、自分が工作が得意だったこと、工作と社会の両方の興味を満足させるメディアアートという分野があることを知り、作品を作り始めるのです。

「影」をテーマに映像技術の歴史をふり返ったり、「足跡」を題材にして歩くことと土地を知ることの関連を探ったり、「匂い」を使って空間を把握する方法を編み出したり、様々な手段とテーマで作品を作り、大勢の人に見せるようになります。

メディアアートの世界は科学とアートの狭間にあるので、美術館、科学館、工学系の学会、デザインや商業展示会と、発表する場所も色々です。また、一人では作れないことも多いので、技術者や建築家、デザイナーなど様々な人とのコラボレーションも日常的なこと。多くの人と一緒に作り、多様な場所で見せることは、様々な世界のルールと言語を知ることでもあり、それは人と人や国と国がどのように関係を作るか興味を持っていた大学入学当初の指向となんら変わっていないようにも思います。

展覧会を見た人から声がかかり、こうした作品をプラットフォームに、クライアントのコンセプトを実現するデザインワークの仕事にも関わるようになりました。ビジネスへの展開を考える中で会社を起こしましたが、今後はメディアアートが社会に何を還元していくのかを考えながら活動していきたいと思います。

plaplax
http://www.plaplax.com/

(掲載日:2009/01/29)