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Magazine
2009.11.30

民宿に観る日本の美意識

SFCスピリッツ

民宿に観る日本の美意識

都丸一昭さん
WINPEACE LLP 代表副理事長、株式会社 グラウンディングラボ 取締役副社長
2007年環境情報学部卒業

問題発見・解決型人材。
私がSFCにいた時も、SFCが目指している人材像のキーワードの一つでした。

問題を発見すること。
簡単なようでとっても難しいことです。

成熟した世の中では、より深い視座での問題発見能力が求められています。そして、深い視座を得るためには、理不尽な体験が大切です。

今回は、私がSFC在学中に出会った理不尽な体験を書きつつ、今の仕事に触れたいと思っています。

2006年の夏、当時の私はSFCの4年生。「エコを本質的に表現したい」という問題意識を持っていた私は、日本の食糧自給率100%を目指し、延べ2万人のイベントを主催しました。

山中湖村の国立公園を9日間貸切ったり、100m×100mのグランドに手作りのテントを52個立てたり、固定種の種を販売したり、マイ箸ワークショップをやったりしましたが、発電機が黒い煙を上げたり、学生スタッフが大喧嘩したり、大雨で舞台屋根が潰れたり、出店者の方ともめたりと理不尽なことだらけでした。

涙あり、怒りあり、感謝ありの怒涛の9日間。理不尽なことがいっぱいあった分、視座が深くなりました。私の原点と言えます。

創業して3年近く経ちました。創業という理不尽な体験を通じて、「エコを本質的に表現したい」という問題意識が、「日本の美意識と行動原理を次世代に継承したい」という問題意識に昇華しました。そして、今、白馬村の民宿再生をSFCの現役生と一緒にやっています。

白馬に寄り添う生活文化に浸れる宿、民宿。カネを根拠に動かない地域のソーシャルキャピタルに日本の美意識と行動原理を観ました。そんな民宿に都会のセンス・同時代性を持って、再編集していく。白馬村に寄り添う生活文化を大切にしながら、経済性を担保し、持続可能にしていく。

白馬村の民宿再生に取り組むSFCの現役生 白馬村の民宿再生に取り組むSFCの現役生

楽しいです。

未踏プロジェクトはまだまだあります。世の中、やりつくされている感が蔓延していますが、深い視座が持てれば、問題を発見できます。

ダサい、泥くさい、みんなが無関心。そんな領域に未踏プロジェクトが眠っています。それは、SFC生がプロデュースすべきことです。みなさんが主役です。同時代性と技術が必要なんです。

SFCのみなさん、パソコンで情報をやりとりする量以上に、リアルな現場で理不尽な体験をしてください!

白馬村新民宿宣言:http://hakubashinminshuku.com/

(掲載日:2009/11/30)