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2009.05.13

オイル・ドリームの街ヒューストン

SFCスピリッツ

オイル・ドリームの街ヒューストン

石油掘削基地砂田知宏さん
MitEnergy Upstream LLC Vice President
1996年総合政策学部

私は現在三井物産エネルギー本部石油・ガス資源開発部より、米テキサス州ヒューストンに設立したMitEnergy Upstream LLCという会社に出向しています。ヒューストンは世界の石油産業の中心で、オイルメジャーをはじめ、多くの石油会社の本社が置かれています。私が勤める三井物産も2006年に米メキシコ湾沖で石油・ガス田の権益を取得、MitEnergy社を設立しました。本社にいた時からこのプロジェクトに携っており、そのまま現地事業会社の設立・運営を担うことになりました。会社設立は文字通り一からのスタートで、事務所探し、家具選びに始まり、技術者を含む社員の採用、会社規定整備に至るまで、会社運営が軌道に載るまで1年近く掛かりました。大変なこともありましたが、大変貴重な経験をさせて貰っていると思っています。

幸か不幸か、入社以来ずっと石油関連の仕事に携っていますが、石油の仕事といってもその内容は多岐に亘ります。我々の生活に欠かせない石油ですが、電力・衣類・生活用品として消費者に届くまでに、実に長いチェーンが存在しています。現在の仕事は、その長いチェーンの最川上、アップストリーム(資源開発)の仕事ですが、最初の仕事は基礎化学品の原料となる石油(ナフサ)の輸入貿易を担当していました。産油国であるクウェートでの4年弱の駐在勤務を含め、石油という仕事を通して世界中の人と出会うことができ、異国で暮らす機会を得、世界から日本を見ることができる。当然仕事がしんどい時もありますが、仕事を通して得られるトータルの充実感・達成感が13年間この仕事に留まらせている理由かも知れません。

最後に現在住むテキサス州ヒューストンに就いて少しだけ。ヒューストンは人口で全米第3の都市(最近シカゴを抜いたそうです)で、1901年の油田発見によって急速に発展した『オイル・ドリームの街』。テキサス州の面積は日本の1.8倍で、アラスカ州に次ぐ全米第2位。石油産業だけでなく、宇宙産業(NASA宇宙センター)、医療産業、畜産業などが主要産業です。また、テキサス出身の人はよく「I'm a Texan.」と言い「I'm an American.」とはあまり言いません。みな陽気ながら、カウボーイ気質からか誇り高く、他のアメリカ人からしてもテキサスは独特の雰囲気があるそうで、「テキサスに来ると緊張する」そうです。(東京生まれ、東京育ちの私が大阪に行くと緊張するのと同じ?)

(掲載日:2009/05/13)