SFCスピリッツ
最近の体育事情
木林弥生さん
慶應義塾大学体育研究所非常勤講師、多摩大学統合リスクマネジメント研究所医療リスクマネジメントセンター秘書
1997年総合政策学部卒業、2008年健康マネジメント研究科修士課程修了
現在、私は多摩大学の研究開発機構のひとつである統合リスクマネジメント研究所医療リスクマネジメントセンターで秘書の仕事と、慶應義塾大学体育研究所で非常勤講師の仕事を掛け持ちでしています。多摩大学では、医学博士と経済学博士を持っている医師の真野俊樹先生のもとで仕事をさせていただいております。今回は、もうひとつの仕事である慶應義塾大学のことを紹介していきたいと思います。
体育研究所は日吉キャンパスにあり、日吉と三田で体育全般に関する授業(実技、講義/演習)を行なっています。現在、ウィークリーで行なう体育実技の種目数は33種、シーズンスポーツは10種あり、体育種目の充実度は関東の大学の中でもトップクラスです。私はその中の「卓球」を春/秋、週4コマ(定員30名)担当しています。卓球は人気があり抽選ということも珍しくはない種目です。単純に計算をすると半期で100名以上、1年で200名以上の学生と接することになります。そのほか、夏は通信教育の体育もお手伝いしているので、接する学生はかなりの数にのぼります。
この仕事をして思うことは、先生は大変だということです。つい最近まで学生として授業を受けては、面白い/面白くないと好き勝手なことを言っていました。立場が代わり自分が先生になった途端、どうすればわかりやすく伝えられるのか、内容はこれで良いのかなど色々と考えています。今思うと(特に学部時代は)もっと積極的に授業に参加して、先生の意見を吸収できればよかったと後悔するばかりです。
学生に対して思うことは、学生は優秀で真面目な人が多いということです。私は卓球を教えてあげることができますが、その他のこと(たとえば株価のことから映画の話まで)は学生から教えてもらうことばかりです。視野が広がること、間違いなしです。頑張り屋も多く、資格取得を目指してダブルスクールに行っている学生が目立ちます。「卓球は息抜きで取っているから、この授業が楽しくて…。」と言われると、ぜひ楽しい授業をしなくてはいけないと身が引き締まります。このような学生達と接していると自分も一緒に勉強させてもらえるので、慶應の精神である「半学半教」を実感している毎日です。
私は、総合政策学部を卒業して商社に入社をし、社会人として約9年間仕事をしてきましたが、学部時代に所属していた体育会での経験を生かした仕事をしたいと退職し、健康マネジメント研究科に入りました。競技スポーツは体に負担を懸けますが、きちんと管理された「運動」は健康の維持、更には「有意義な人生」を送っていく上で、ひとつの有効な手段です。現在、健康増進目的の他に地域とのレクレーションや観戦など、生活の質を高めるためのスポーツもあり、スポーツに対するニーズも多様化しています。環境が整えば、スポーツが社会に貢献できる役割はまだまだ拡大できると思っています。
体育は教育という側面を持つので、出席率などで体を動かすことを強要してしまうところがありますが、その中で最大限楽しく体を動かしてもらい、将来、「楽しかった、また卓球をやってみよう」と思ってもらえるような授業を目標としています。そして、今後機会があればぜひSFCでも授業を持ち、SFCの学生とも接してみたいと思っています。
(掲載日:2010/05/10)