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2008.10.29

Collaborativeな学習環境をデザインする

SFCスピリッツ

Collaborativeな学習環境をデザインする

望月俊男さん望月俊男さん
専修大学ネットワーク情報学部・講師
2000年環境情報学部、2002年政策・メディア研究科修士課程

SFCに入学したら、グループワークを1度は経験するのではないでしょうか。私はSFCでグループワークに魅せられてしまい、よりよく学ぶためのCollaborativeな学習環境のデザインについて主に研究しています。

SFCで学ぶ大切な概念の中に、「自律・分散・協調」があります。この中でも「協調」は、実は簡単ではありません。グループワークというと、メンバーで協力して1つの課題を成し遂げるイメージがあります。しかし、メンバー間で完全な分業をしてしまえば、自律・分散だけでも、成果物を作ることはできます。

協調のメリットは多々ありますが、最も大切なのは、自分が考えもしなかったような他者の考え方を知り、自分の考えと照らし合わせる中で、新しい知を編み出すことができることでしょう。

こうした他者との相互作用によるメリットを享受するには、協調する相手がどんなことを知っているのか、どんな状況にあるのかを知ること、そして相手が同じように自分のことを知っているか否かを把握することが大事になります。

そうすると、互いの相違点が見えたり、問題状況が生じた場合に、その時その場の状況に応じて、相互に意見を述べあったり、手助けしたりできます。

こうしたことが円滑に生じるためには、「お互いにお互いのことが分かる」ためのリソースが学習環境として必要になります。

写真はその1つ、携帯電話を利用して、グループメンバーの状況を表示するツールです。携帯電話を開くと、自動的にグループウェアからデータを取得して、お互いの状況をリアルタイムに可視化します。実際に授業で使うと、相互に連絡を取ったり、助け船を出すことが増え、グループの結束力が強まることが分かりました。

現在、専修大学では、情報の教職科目等を担当していますが、こうした授業でも、「お互いにお互いのことが分かる」学習環境を新たにデザインして、教育実習での学びを実りあるものにする授業実践にチャレンジしているところです。

→専修大学ネットワーク情報学部
→望月研究室

(掲載日:2008/10/29)