SFCスピリッツ
受け継ぐべきものと変えるべきもの-義塾創立150年の記念事業に携わって-
澤藤正哉さん
慶應義塾 創立150年記念事業室 係主任
1997年環境情報学部、1999年政策・メディア研究科修士課程
「福澤先生だったらどうするのであろうか。」
私は義塾において、この問いかけを胸に創立150年記念事業に携わっています。何も先生に対して、盲目的に心酔しているわけではありません。次の2つの心構えを大切にしたいと思うからです。
先生が描いた慶應義塾という名のグランドデザインは、先生の死後も時代に合わせて、多くの人々の手によりリニューアルされ、襷の如く受け継がれています。創立150年記念事業案を作成するにあたり、やはりたくさんの方々にお話を伺いましたが、皆さま声を揃えて、「迷った時立ち戻るは、福澤先生だよ」とおっしゃいます。当然のことながら、迷ったとしても私の判断一つで慶應の行く末が決まることはありません。ただ、私はどんな小さなイベントを企画するときでも、「義塾の伝統と先生の志を汚してはいけない」という心構えを持つようにしています。
その一方、SFC時代に学び常に忘れずにいるのは「流れを止めた水は腐る」ということです。新しいことを始めるとき、既存の仕組みを変えようとするとき、そこには多かれ少なかれ風波が立ちます。封建社会からの脱却を説いた福澤先生にも強い逆風が吹き寄せたに違いありません。けれども先生の心は折れませんでした。慣習に囚われることなく、変えるべきものは変えていくこと、これもまた事業に取り組む上で忘れてはいけない心構えだと考えています。
1858年、25歳の福澤先生が開塾した一私学は、時代の荒波にもまれながらも、こうして創立150年の歴史を刻み、時代の先導者を多く輩出してきたことに私は素直に感動を覚えます。「先生だったらどうするか」という問いかけに答えはなく、私レベルの判断においても日々迷いが生じます。しかし、次の150年に向けて足を踏み出す義塾の運営に、微力ながらも関われることに誇りを感じて毎日を過ごしています。
(画像左)2008年4月23日に東京ディズニーシーにおいて、義塾社中約2万人が集まりペンライトを片手に「若き血」を歌いました。
(画像右)2008年11月8日に日吉キャンパスにおいて、記念式典が開催されます。三田やSFCでもPVが行われる予定です。
(掲載日:2008/06/18)