MENU
Magazine
2008.09.24

近況報告

SFCスピリッツ

近況報告

杉本康士さん
産経新聞記者
1998年総合政策学部、2000年政策・メディア研究科修士課程

産経新聞で記者をしています。「どんな小学校を卒業すれば、そんなに愚かになれるのか」「口が臭い、風呂に入れ」と怒鳴られながらも、なんとか続けています。刑事裁判の被告人と間違えて、弁護士の写真を紙面に掲載したことがありました。取材先から「今すぐ帰れ」と罵られ、塩をまかれたこともありました。つらいこと、情けないことばかりですが、感涙を流したこと、いてもたってもいられないほど興奮したこともありました。そういうふうにして記者を続けています。

現在所属している政治部に配属されたのは平成17年7月のことでした。郵政民営化法案をめぐる権力闘争が激化していたときです。日がな一日、小泉純一郎首相(当時)を追いかけ回す「総理番」をふりだしに、公明党担当、自民党幹事長担当を経て、20年9月19日現在は官房長官担当を仰せつかっています。政治部に来る前は水戸支局、静岡支局、整理部にいました。

学生時代は国際政治の勉強をしていました。森本敏先生、故小島朋之先生に師事したこと、故佐藤誠三郎先生の事務所に何度か押しかけたことは、何ものにも代え難い経験でした。卓越した知性の謦咳に接することができたのに、十分に消化しきれなかったことは痛恨の極みです。ただ、外交・安全保障の取材をしたり、記事を書いたりすることもあるので、ほんの少しだけ恩返しができているのかもしれません。酒浸りの毎日で、先輩や後輩と口角泡を飛ばしたことも僕の血肉になっていると信じています。

湘南台で暮らした6年間、意識的に物事を疑う訓練を受けたと思っています。訓練の成果ははかばかしくありませんが、疑って、疑って、疑ったうえで信じられれば幸せです。就職してからも、そう心がけています。結果、目つきの悪い34歳の中年になりました。道を歩けば不審者と間違われるのが悩みの種ですが、仕方のないことだと諦めています。

(掲載日:2008/09/24)