SFCスピリッツ
面白くて楽しい事なら、何でもおやりなさい
橋本彩子さん
メキシコ合衆国グアダラハラ市 法律会計事務所RIVEMEX勤務、
メキシコ ハリスコ州最高裁判所・グアダラハラ市役所公認通訳翻訳士
1998年総合政策学部
メキシコの大壁画家であるディエゴ・リベラは、妻フリーダ・カーロがフランスでの初個展を前に緊張していた時、こんなことを言いました。
「人生が君に与えるもので面白い事や楽しい事だったら、何でもやりなさい」
私のメキシコ壁画政策に関する卒論は大変お粗末なものでしたが、少なくとも壁画家が教えてくれた、人生で大事な事はきちんと学んだような気がします。
メキシコ、グアダラハラ市の法律事務所に勤務して10年目。「ただの外人」だった私を、沢山のメキシコの人たちが陰となり日向となりサポートしてくれています。こつこつと培ってきた「ツール」としてのスペイン語、英語、そして何よりも日本語が、ビジネスを成功に結びつける「コミュニケーション」となって彼らと結びつき、広がっていきます。具体的には、外国企業へのリーガルサービスを始め、投資サポート、輸出入コーディネートなどさせていただいています。州最高裁や市役所の公認通訳翻訳士認可を3ヶ国語でいただいているので、公文書の翻訳や法廷通訳などもします。15時間立ちっぱなし、しゃべりっぱなし、という工業系の通訳業務も多く「体力通訳」と呼ばれたり。一方で、全くの畑違い、子供の本の書評を書くという仕事もありますし、最近では恩師山本純一先生より、コーヒーのフェアトレードに関するお話もいただいています。これらは多種多様に見えますが、私にとってはどれも「面白くて楽しいこと」という点で共通しているのです。
SFCでは誰にもああしろ、こうしろ、と言われませんでした。「面白い」と思ったことをやっていたら、学期末に成績がついていました。面白いことが見つからなかった授業の成績は悪かった。会社でも「面白い」ことをやっていたら、お客さんが喜んでくださって、月末にお給料が入っています。それで山小屋を建てたり、ミミズ農法でベリーを育てたり、乗馬したりするので、私生活もまた楽しいことばかりになり、塩分過多のメキシコ料理ばかり食べて寿命が縮まったとしても、ま、なかなかいい人生でした、と、いつでも笑って逝けそうな気がしています。
(掲載日:2008/03/12)