SFCスピリッツ
社会起業家のススメ 〜NPO経営者というキャリア〜
駒崎弘樹さん
NPO法人フローレンス 代表理事
2003年総合政策学部卒業
SFC在学時に学生ITベンチャーを経営していた26才の僕が、「子育て支援」で飯を食っている。なぜか。
学生時代のある日、母から電話が掛かってきた。自治体の一時保育要員であった母が、自分の受け持ちの子育て中のママに「預かりは、今日で最後にして下さい」と言われたという。よくよく話を聞くと「こどもが熱を出した。保育園は病気の時は預かってくれないので、看病のために会社を休んだら、会社から非常に怒られて辞めさせられてしまった。だからベビーシッターを頼む必要がなくなってしまったのだ」と。
「こどもが熱を出して看病するなんて当たり前のことで、何でクビなの!?」と無性に腹が立った僕は、経営していたITベンチャーの社長を降り、熱を出したこどもを保育園が預かれないことで、働く親の育児と仕事の両立が非常に難しくなっている「病児保育」問題の解決に、全く新しい手法で切り込むことに決めたのだ。
2005年4月から、東京都江東区と中央区で事業を開始したところ、申し込みが殺到、2006年現在250人も入会待ちの状態だ。本当に困っている方が多いことを実感する。
昨今社会的に知られるようになった、社会問題を事業で解決する「社会起業家」として、病児保育問題に取っ組み合っていきたい。後輩たちにも、声を大にして言いたい。「世直しで飯食っていこうよ」と。
(掲載日:2006/06/14)