研究領域キーワード
意味づけ論、認知意味論、英語教育、コミュニケーション、コア、チャンク、第二言語習得、異文化、メディア
どのような研究をしているのですか?
田中研究会は、「英語・教育の意味空間分析」と「映画分析」の2つの研究会が行われています。前者では、主に「英語教育」という切り口から、英語教育の現状と目指すものを確認し、英語教育を、(1) 学習者にとっての視点および、(2) 教育者の視点の両面、を考慮に入れながら、言語・心理・発達・教育・社会的な様々なアプローチを用いて英語教育の全体像を把握し、徹底的に英語教育の未来について議論していきます。こうした全体像を認識したうえで、学生間でいくつかのプロジェクトを作り、実際の教育現場での実践や英語教育の目指すものに関するディスカッションや報告などを研究会のなかで行っています。後者では、主に洋画を用いて、学生の関心に応じて洋画が作られた歴史的、文化的背景や言語・会話分析などを行う研究会です。
研究室の一日を教えてください。
「英語・教育の意味空間分析」では、先生が様々な視点から英語教育の全体像を講義するとともに、そのなかで出てきた問題意識を学生間で共有し、プロジェクトを作り、学期最終のプロジェクト発表に向けて様々な実践活動などを各自が行っていきます。塾や学校現場などで実際に様々な英語教育の実践をしている学生も多く、研究会は理論と実践を繋ぐ場になっています。卒業プロジェクトのある学生は、授業内で発表して先生の指摘を受けながら、研究を進めていきます。「映画分析」は学生の興味関心に応じて映画を選択し、映画上映を行った上で、学生独自の視点で分析を行うという完全に学生主体の研究会です。研究室では主に大学院生や先生方が集まり、時には熱い議論が交わされることもあります。
先生はどんな方ですか?
何十年にわたって第一線で活躍し続ける研究者であると同時に、学生を暖かく見守ってくださる教育者です。先生に会う度に、いつも新しい刺激的な話をしてくださり、研究室の外でも様々な活動をされていることがわかります。1ヶ月で何百ページも原稿を書き上げてしまうくらいのパワフルさは学生には到底及びませんが、常に目標となる人柄で、学生からの信頼も厚い先生です。先生は学生の主体性に任せていますが、学生が1つ質問すると、100くらいにして返してくださり、迷っている場合には指針を必ず与えてくださいます。学生が本気で取り組めば、それを本気で返してくださる先生です。
研究室ならではのキーワードはありますか?
先生は、研究の視点として確固たる「哲学」を持っておられ、常に「全体像」を見据えながら、細部に偏りがちな研究の問題点を指摘され、「○○とは何か?」を問う姿勢を大切にされています。「英語教育」という分野であっても、「人間教育」のなかでの英語教育、「文法」とは何か、コミュニケーションと対話の関係とは、日本語と英語、メディアと英語教育、などなど、他分野との関わりを意識しながら、理論と実践をつなげる最先端の試みを行っているのはおそらく、田中研究室でしかできないことでしょう。先生はよく、「研究のための研究はつまらない」とおっしゃっています。つまり、研究の本質は研究室のなかのみにあるのではなく、当たり前の日常を “Re-search”(再び、問うてみること)しながら、実践のなかで様々な理論を試す“Action Research”にあるということです。この視点は、大学の研究の場を超えて、社会に出てからも “Research mind”を持って学生に活躍して欲しいという先生の想いが込められています。
リポーター
中村俊佑さん(2013年政策・メディア研究科修了、執筆当事政策・メディア研究科修士課程2年)
(掲載日:2013/05/28)