MENU
Magazine
2013.09.24

楽しい勉強が教育の未来を切り開く

伊藤雄吉さん
株式会社えいごや 代表取締役社長
2007年 環境情報学部卒業、2009年 政策・メディア研究科修士課程修了

2002年に環境情報学部に入学し、2005年より「えいごや」という、音楽が流れるカフェのような独特な教室(学習塾)を創業しました。現在は神奈川県内に5店舗展開しており、様々な企業や学校に認知心理学や大脳生理学をベースとして開発した教育システムの提供を行っています。

全ての授業デザインの中で、常に拘っているポリシーがあります。それは、「勉強がとても役に立つし、とても楽しいものであると皆にわかってもらいたい」ということ。えいごやの授業は全てその視点から構築された、とても楽しく、本当に役に立つという実感が伴ったものです。英語も国語も数学も理科も社会も、どのような視点や必要性からデザインされたのか、知識やスキルが将来的にどういうシチュエーションで必要になるのか、なぜ今の時代にそれらのトピックを学ぶ必要があるのかなどを、十分に議論ができるような環境を整えています。えいごやのとても個性的な授業設定や教室環境デザインは、その「楽しんでもらいたい」という想いから、すべて構築されています。

そのような理念を形にしていくためには、働いてくれる先生たちにもかなり高度な社会的な状況把握が求められます。わかりやすく言えば、現場感覚が必要だということです。そのため、えいごやでは授業だけを行うスタッフは一人も採用していません。全てのスタッフはそれぞれ専門分野を持ち、各ジャンルから教育というものにアプローチをかけるように指導しています。それらは本当に多岐に渡っており、認知心理学、経済学、政治学、医学、薬学、看護学、国際関係論、プログラミング、デザイン、アート、行動科学、言語学、スポーツ科学、などがあります。それらの専門家がえいごやという場で交わり、協力し、組み合わさり、全く新しい教育環境を創出していけるようなプラットフォームが10年という月日をかけ、ようやく実現してきています。

現在、仕事で用いている専門分野をこうして列記していると、まるでSFCのカリキュラムを見ているような気がしてきます。僕が入学した当初は一見バラバラで関連性も見えにくかった授業で得たトピック群が、10年越しで自分の中で組み合わさり、ひとつの「えいごや」というプロダクトとなって生まれてきました。そんなえいごやが世の中に出て行く課程を見ていると、そこにはSFCという学校が僕に与えてくれた大きな影響を見ることができます。

最後にもし、現役SFC生の皆さんにひとつアドバイスをするとしたら、様々な内容を学べるSFCの授業を利用して、それらの要素を全て並べて「組み合わせて遊んで」みてください、ということを伝えたいと思います。SFCが扱っているひとつひとつのテーマは、10年後、20年後を見据えて、活動していくために必要であろうものが詰め込んであります。僕は欲張りですので、そのどれかを選択するのではなく、全部を吸収しようとしました。幸運なことにその姿勢から、今の仕事や「えいごや」という存在が生まれて来たのだと思っています。

ぜひ、どん欲にSFCという学校を最大限に利用して、勉強を楽しんでください。

きっとそこには、次の時代を構築するのに必要なピースがたくさん眠っています。

株式会社えいごや

http://www.eigoya.jp/

eigoyaa 写真:えいごや湘南台教室 fikaで授業を行う筆者                              2010年度グッドデザイン賞受賞 (教室設計)