コーチングやライフスキルプログラムの実践を通して
「自ら考え、行動する力」の可能性を研究する。
<研究会名>
総合政策学部 専任講師
東海林 祐子
専門分野 スポーツ心理学 ライフスキル コーチング
コーチングとライフスキルプログラムの作成と実践。
この2つを通して、自身のコミュケーションスキルの再構築を図る。
私は、長年スポーツの指導者として選手を観察し、「勝利」という目標に向けて、選手をやる気にさせるコーチングを積み重ねてきました。そうした経験知や着眼点を柱として研究会では、2つのテーマを軸に取り組んでいます。ひとつは「コーチング」による人材育成と組織づくりです。スポーツ現場におけるコーチと選手や、選手同士の間には、さまざまな葛藤があり、チームを望ましい方向に導くためのコーチングの研究・開発を行っています。もうひとつは、チームや個人の協力関係を高める「ライフスキルプログラム」の作成と実践です。「ライフスキル」とは、人生に起こるさまざまな困難や障害に建設的かつ効果的に対処する能力のこと。研究の対象はスポーツチームや企業、小学校やNPOなどさまざまですが、チーム力を高めるためのコミュニケーションのとり方や、挫折に直面した時の対処の仕方など、人との関わりの中で、ライフスキルを体得しています。
研究会のメンバーは身近なテーマを見つけ、人のやる気を引き出す過程で、自身の至らなさを痛感し、自己変革して自身のコミュニケーションスキルの再構築を図っているようです。
コーチ時代の経験が、今の研究の礎になっている。
そもそも、こうした研究を始めることになったのは、以前のコーチ時代の経験からでした。コーチになってすぐの頃に、私の指導を選手が受け入れられなくなったことがあり、どんな練習をやれば選手がやる気になるかというのを真剣に考え始めました。そこで、学んだことが2つです。選手とコーチ(指導者)の間にはヒエラルキーがあるので、指導者が変わらないと選手はついてこれません。そこで自己改革をして、選手へのコミュニケーションやアプローチを変えることで、選手がやる気になるということ。そして、もう1つは、私が一方的に練習方法を提供するよりも選手が考えるべき環境をこちらで整えてやることで選手が自ら考えられる環境を作り、考え、行動する力を養えること。<コーチング>と<ライフスキル>という研究の原点とも呼べることを、この時期に学べたのが、非常に大きかったですね。
人との関わりの中で、自らの能力を最大限に発揮することができる。
研究会では、学生の主体性を重んじながらも、研究内容だけでなく社会的なルールについても指導するようにしています。「先生がおっしゃった意味が、社会人になってようやくわかりました」といって、研究会を訪れてくれるOB・OGも少なくありません。
卒業生は教師やオリンピックをめざす人、スポーツや企業のコーチングに興味をもっている人など幅広い分野で活躍しています。最近は、毎年TV局に入社する人も出ています。お互いの頑張りが刺激になり、切磋琢磨してプロジェクトにも取り組むという雰囲気が研究会にはあり、いいコミュニティの場になっているからだと思います。またコーチングやライフスキルなどに興味がある学生が集まっているので、人との関わりの中で、自らの能力を最大限に発揮できているのも要因のひとつといえるかもしれません。組織やコミュニティで重要となるのは「人材」です。研究会では、組織を高いレベルに引き上げるためのスキルを養うことができます。スポーツに興味がある人はもちろん、社会のリーダーをめざしている人には、ぜひ挑戦してみてください。