総合政策学部 専任講師 野中 葉
専門分野:現代東南アジア研究、現代社会と宗教、女性とイスラーム、マレー・インドネシア語教育
語学の講義で学んだ外国語を活用して
異なる文化・価値観への理解を深める
私は「現代東南アジア研究」と「東南アジア共生プロジェクト」の2つの研究会を開講しています。「現代東南アジア研究」では、現代東南アジア社会に興味を持つ学生たちを受け入れ、東南アジア社会に関する本の輪読に加え、個別テーマを設定して卒業論文までつなげることを念頭に置いた個人研究をメインの活動としています。
「東南アジア共生プロジェクト」では、グループプロジェクト型の研究を実施しています。「日本が海外(特に東南アジア)からどのように見られているか」を各グループ共通の課題として設定し、「学びの場としての日本」、あるいは、「旅行先としての日本」という異なる視点から、各グループで関連データを収集したり、留学生を対象にインタビュー、アンケートなどを行ったりして調査を進めています。
私は外国語の講義でマレー・インドネシア語を教えていますが、この講義でインドネシア語を学んだ学生たちが、習得した言語を使って実際にコミュニケーションを取ったり、現地のメディアを通じて研究を深めたりする場として活用してほしいと思っています。
異なる価値観を持つ人との出会いを通じて
価値観がリセットされることを楽しむ
私の研究会のキーワードは「異文化共生」です。現代では、異国の文化に興味を抱いたら、本を読んだり、国内で外国人とコミュニケーションしたりするだけでなく、YouTubeで現地のテレビ番組を視聴したり、SNSを通じて現地の若者の"生の声"に触れたりすることも可能です。
こうした営みを通じて、私たちが無意識のうちにとらわれている「日本人であるがゆえの価値観」を相対化してみましょう。
実際に「東南アジア共生プロジェクト」でインドネシアのテレビ番組を調査したグループは、番組で紹介される「日本観光のおすすめスポット」が富士山や桜ではなく、メイドカフェやネットカフェであることを知り、「日本の対外アピールの方向性には再考の必要がある」と結論づけていました。
こうした研究を通じて異なる意見に耳を傾け、「多様な価値観が並存する世界の中で、自分自身の価値観もそのひとつでしかないことを自覚できる人」や、「異なる意見や価値観を持つ人たちとの出会いを通じて、自分の価値観を相対化していくことを楽しいと思える人」が増えていってくれることを望んでいます。