総合政策学部 教授 中山 俊宏
専門分野:アメリカ政治・外交、日米関係、国際政治
現代アメリカ政治と外交政策の歴史的、イデオロギー的背景を理解する
当研究会はアメリカの現代政治と対外政策を学び、それをベースに日米関係についても考えていきます。この共通テーマの下、例えばアメリカにおける政治と宗教の関係、日本の保守派はアジア太平洋地域における米国のプレゼンスをどう見ているか、戦後における日米市民社会の交流、米国の対テロ戦争など、個々の学生の関心分野は多岐にわたります。研究会では日々生起する事象に振り回されることなく、現代アメリカ政治と外交政策を根底で規定する歴史的、イデオロギー的背景を理解することを目的としています。
例えば、2016年は言うまでもなく、米国大統領選挙とトランプ氏の当選が重点テーマでした。私たちはトランプ氏の日々の行動を事細かにフォローするのではなく、むしろ彼がアメリカの保守主義の3本柱である「小さな政府」「強いアメリカ」「伝統的価値観」との関連でどのように位置づけることができるのかについて考えました。さらに、アメリカの選挙制度、マスメディアやソーシャルメディアの役割、そしてアメリカにおける変化がアジア太平洋地域、とりわけ日米関係にどうした影響を与えるかについても考えました。
知的好奇心を育成し、言葉による表現力を磨く
当研究会は、アメリカの政治、日米関係、国際問題に強い関心を抱いている学生の方々を歓迎します。特に本を読むということを重視しています。私が特に好きな名言の1つに、マーク・トウェインの「良書を読まない者は、良書を読む能力がない者と少しも変わるところがない」という一節があります。活発なディスカッションとディベートも当ゼミの特徴です。まず研究会の問題関心と合致するトピックに着目します。各学生がそれぞれ独自に調査を実施、発表し、その後オープンなディベートをします。セッション後半では、学生がそれぞれの関心分野について発表し、その後再び自由な流れで対話をしながら、お互いの考えを分かち合います。
アメリカの政治と外交政策を詳しく理解することはもとより、当ゼミのさらに深い目的は、学生自らが思考とディベートのスキルを身に付け、アメリカ政治と対外政策を素材として、言葉による表現力を磨くことにあります。そのためにも、私は映画や音楽、小説など、アメリカ政治に必ずしも関係がなくても、思考プロセスを育成、強化するのに役立つ教材を提供し、学生の方々が新たな知識を求め、知的好奇心を満たすよう促していきます。