細井美裕さん
ボイスプレイヤー / プランナー
2016年 総合政策学部卒業
卒業後、コンピューターやサウンドによる表現を得意とするクリエイティブスタジオへ入社しました。現在は独立し、活動の軸は大きく2つあります。 ひとつは、SFC時代から続けている自分の声を用いた作品制作や、他のアーティストや劇場との共同制作といった表方としての表現活動、もうひとつは企業や研究機関のオーディオビジュアルに関わるプロデュースなど裏方としての表現活動です。
細井美裕《Lenna》2019年 撮影:谷康弘
写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]
今のところエンジニアリングとサウンドの融合を得意分野としていますが、この異分野融合の考え方は履修授業や、表現者としての側面も持つ先生方に影響を受けたと思っています。
特に記憶に残るのは「芸術と科学」という授業で、毎回あらゆる分野のゲストスピーカーのお話を伺うものでした。試験勉強ばかりしてきた自分にとっては全てが新鮮で、こんな考え方、こんな仕事の作り方があるんだと、夢が広がるばかりでした。
"広く浅く"と"狭く深く"をひとつのキャンパスの中で切り替えられるSFCのカリキュラムは私の興味と相性が良かったように思います。オーディオビジュアル分野で企画制作をしたい、と思った私は、三田キャンパスでの授業も含め、芸術学、エンジニアリング、アートプロデュース、認知心理学、メディア論などバランスよく履修することができていました。 同時に学外では、学内でのインプットを実行するプロジェクトを同じ志を持つ藝大の友人らと行ったり、「表現をするための基盤からつくる」ことを意識していました。作品を制作して既存のメディアに載せるのではなく、慣習から逸脱してどのように展開していくかまでを表現と捉えて活動することが楽しかったのを覚えています。最近は日本音響学会Week of Soundシンポジウムへの登壇や、SHUREとMixcloudによるオーディオカルチャーをプッシュする24人に選出されるなど、学生時代から続けてきた活動が実を結び始めている気がします。国内外問わず多角的な活動ができるよう、挑戦する日々を過ごしています。
細井美裕《Lenna》2019年 撮影:木奥惠三
写真提供:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
また現在私の作品を展示している山口情報芸術センター[YCAM]とNTTインターコミュニケーション・センター [ICC] は、芸術と科学の取り組みを、芸術の文脈から社会へアプローチしているアートセンターで、過去にはSFCの研究室との連携プロジェクトもありました。アートセンターに限らず、産官学連携など、実際の現場で学べる環境が近くにあることも魅力でした。
SFCが創設当初から重要としてきた文理融合の考え方が一般的になりつつある今、その考え方を実際の社会で機能させることが重要だと考えています。 SFCの中だけで、全てが学べるとは限りません。
ただ、そのことに気づき、行動するための道筋を学べたことが、SFCでの最も大きな学びであったと思います。
フィルムアート社 かみのたね|音による新しい気付きのために 細井美裕 インタビュー
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