気づいていたよ。
あの頃はよく、朝から晩まで研究室で一緒に過ごしていたよね。教員と学生の垣根を超えて、いつも3人で愉快なディスカッションタイムを過ごしていたのに、ある日から突然、ボクの前から君たちふたりの会話がなくなったね。研究室内ではまだいいけどさ、ランチタイムは本当に大変だったなぁ。「なんでオレひとりが、この空白の時間を埋めなきゃいけないんだ」と思いながら、ボクはベラベラと喋り続けていたんだよ。
気づいていたよ。
夜遅くまで3人で研究室にいても、「誰が先に帰るんだろ?」的な雰囲気で、ずーっと消耗戦なこともあったよね。ボクはただ、やりたい仕事が終わらないだけだったんだけど、「あー、邪魔なのはオレなんだ!」ってある時気づいて...仕事がまだ残っているのにスゴスゴ帰ったりしていたんだよ。
気づいていたよ。
ある時から、明らかにファッションセンスが変わってきて、後輩から「最近やたらシュッとしていますよね?なんかありました?」なんて聞かれていたね。それに対して「何もねぇよ」なんてかわしていたけど、バレバレだったよ。勘の鋭すぎる教員、勘の鈍すぎる後輩、トボけるのが下手すぎる本人...あの頃はまだ「マスク時代」じゃなかったからさ、表情筋と腹筋の収縮をコントロールするのが本当に大変だったんだよ。
立ち上げて間もない研究室を支えてくれて、今につながる確かな礎を築いてくれた超有能なふたりだったけど、プライベートな振る舞いは...本当に「カワイイ」の一言だった。気づいていたのに鈍感オヤジを演じなきゃいけなかったあの4~5カ月は、本当に苦行...だったけど、サイコーなアナザーストーリーだった。
そんな君たちが社会に揉まれて成長し、ボクと対等な「大人」として目の前に立ち、そして家族となる誓いを宣言してくれたこと、そしてそんな大切な場面でボクに思い出を語る機会を与えてくれたこと、本当に嬉しく思います。
心から、心から、
君(たち)に幸せあれ!