MENU
Magazine

コミュニティや都市の
レジリエンス向上を目指す

政策・メディア研究科 後期博士課程3年
アリヤニンシー

所属プログラム:環境デザイン・ガバナンス(EG)

発展途上国における問題の根底にある環境問題や都市問題

 インドネシアでは自然災害は日々の生活に伴う不幸な現実で、どの島もそれぞれ異なる災害の被害を受けやすい要因を抱えています。私は学士課程で都市計画を専攻し、社会が直面する多くの問題は経済的なものも含めて、その根底に環境問題や都市問題があることを学びました。特に発展途上国の場合はそうです。そこで、もっと知識を深めたいと考えてインドネシアとタイで修士課程に進み、その後帰国して講師の職に就きました。

政策・メディア研究科の後期博士課程に関心を持ったのは、私の関心領域に合致する分野の研究をされている先生が何人もおられたからです。実際、いま指導教員をしていただいているショウ, ラジブ教授は、インドネシアでは政府と協力して防災対策にあたられたことで有名です。SFCの先生方からは都市計画について詳しく学ぶことができましたし、現地の被災者と政府の橋渡しとなって、コミュニティ・レジリエンスの向上につなげるにはどうすればいいかも学びました。日本も自然災害を数多く経験している国なので、ここで学んだことの多くはインドネシアが抱える課題にも応用できます。

世界各地の専門家とのつながりと研究協力ネットワークの広がり

 私の研究では、インドネシアの首都移転計画の影響を受けるバリクパパン市のコミュニティの災害レジリエンスの評価を行っています。市内の各地区の特性を検証する統合的な枠組み/モデルを用いて、各地区の固有の課題とレジリエンスの現状を特定しました。この情報を活用して、各地区のレジリエンス向上のための政策提言につなげることができます。興味深いのは、市の対応が遅れている中で、各コミュニティもいわゆる「自律的適応」の形で独自に適応を始めていることです。先生方の指導とサポートがあったからこそ、これほど深いレベルで研究を進めてくることができました。

慶應義塾大学は、インドネシアでは学術的なレベルの高さと卒業生のネットワークが強いことでよく知られています。また、私はSFCに来てからアメリカ、インド、イギリスの専門家の方々とつながりができ、充実した経験ができましたし、研究協力のネットワークが広がりました。インドネシアに戻ってからもこうした国際的な共同研究を続けながら、国内のコミュニティと協力して、気候変動や災害による脅威に立ち向かうレジリエンスを育てるプログラムを実施したいと考えています。

研究室紹介

ショウ, ラジブ研究室

キーワード:防災、環境マネジメント