パレスチナ問題解決に資する
新たな視点としての一国家解決の研究
ハディ・ハーニ Hani Hadi
学部:環境情報学部4年
出身校:川越高等学校(埼玉県)
昨今のパレスチナ問題は、イスラエルによる占領の固定化と、これに対するテロ行為によって和平の機運が停滞しています。このため、パレスチナ独立国家を樹立しイスラエルと共存して和平を樹立しようという、従来の「二国家解決」の実現が疑問視されています。一方で、パレスチナとイスラエルの対立を、1つの国家の問題として解決していけないかというのが「一国家解決」という考え方です。
これは2000年以降、知識人レベルで提唱されはじめたものですが、一国家案は代案としての現実性を未だに備えておらず、政治や民衆レベルでは浸透していません。
そこで私は、将来的な持続的ガバナンスのために不可欠な、超宗教的・超民族的な信頼関係構築という視点に着目し、『パレスチナ問題における一国家案構築の考察-民衆レベルの信頼関係構築を通じて-』というテーマで研究に取り組みました。
「問題解決のための研究」として
生涯、パレスチナ問題に取り組む
この4年間、国内屈指のレベルであるSFCのアラビア語講座をはじめ、宗教、国際安全保障などについて学び、奥田敦研究室で行っているアラブ人学生歓迎プログラムの実行委員長も勤めました。
これまでの研究や活動を通して思うのは、パレスチナ問題は、国際政治や安全保障といった視点、あるいは宗教学や社会学といった視点、これらのいずれかだけでは、全体像を捉えることは不可能だということです。
しかしSFCでは、その両方のレベルから問題にアプローチをすることができました。またフィールドワークにおいて必須となるアラビア語教育も、国内トップクラスのレベルです。さらに奥田敦研究室が長年培ってきた研究拠点ネットワークを活かし、円滑に研究活動を行うことができました。こうした点でSFCは、パレスチナ問題を考えるために最適な環境だと言えるでしょう。
今後、大学院に進んだ後も、さらにこのテーマを追及し、「問題解決のための研究」として、生涯パレスチナ問題に取り組んでいきたいと思います。