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1年超のコンゴ滞在で国際協力に奮闘

秋保 瑞樹 Mizuki Akiho
学部:総合政策学部4年
出身校:東京都立三鷹高校(東京都)

高校時代は、サッカーの強豪校で部活に明け暮れました。夏休みにSFCのキャンパスを見学。静かな環境で学生が昼夜を問わず学んでいて、学業に集中できそうだと感じました。何かやりたいという気持ちはありつつも、特定分野に絞ることを迷っていた自分にとって、多彩な専門分野の人たちが集まるSFCに来れば何かを見つけられそうな予感がありました。
入学当時は教育や国際協力に関心がありながら、「旅券」がパスポートのことであることすら知らない大学生でした。長谷部葉子研究会に所属した動機も当初は漠然と「アフリカに行けそうだから」。コンゴに小学校を建てながら、教育、医療、建築など分野横断型のアプローチをしている研究会の活動に惹かれ、地球の裏側ではどんな事が起きているのだろうというワクワクした気持ちも抱くようになりました。
イギリスかアメリカへの留学も検討していたときに、「コンゴがいいんじゃない?」と背中を押してくれたのは長谷部先生です。教室でみんなに「行きます」と宣言し、「トビタテ!留学JAPAN」の5期生として1年間をコンゴで過ごすことになりました。
2016年8月から2017年9月まで、在コンゴ民主共和国日本文化センターで長期インターンシップを経験しました。国際協力は、とにかく現場に行ってみないとわからないことだらけ。最初の1~2ヶ月は、自分が「日本人なのに何もできない」という現実に向き合いました。日本語を教えるスキルもないし、コンゴで人気のトヨタ車を修理できるわけでもありません。無力感を打ち消すため、市民、企業、NGO、JICA、日本大使館などの人々を「繋ぐ」ことに注力しました。大学生だから起こせる化学反応もあるのではないかと考えたのです。
コンゴでの目的のひとつが、学校給食を手伝うこと。留学に先立って、研究会の先輩といっしょにコンゴで蕎麦を植えていました。乾燥に強い蕎麦は、コンゴでも生育できるうえに、タンパク質が豊富であることから栄養不足の解消も期待できます。そば粉にしてアフリカの伝統的な主食の「フフ」に混ぜれば、既存の食文化とも共存可能です。

理論と実践の両輪で点をつなげる

途上国に関わらず、現場で起きている様々な問題を解決するためには、より多角的な分野横断型のアプローチが必須です。現場主義を貫き、理論と実践を繰り返すしかありません。幸運にも、私は現場でしか得られない問題意識を携えて帰国することができました。これからは研究会でこの学びを理論に落とし込む作業が極めて重要です。このような理論と実践の両輪で研究を進められることが、SFCの大きな強みであると実感しています。
医療、教育、建築、写真、グラフィックデザイン、メディアなど、多くの分野に関心があります。SFCはそんな多彩な分野の学問を身近に学べる環境が充実しています。研究会にも法学的なアプローチの人もいれば、ひたすら農家の人々と汗を流すことで素晴らしい論文を書き上げた人もいます。
あらゆる背景の人達と、授業で一緒に議論すれば、いつも新しい発想が生まれる予感があります。自分の好きなことを土台にして、専門性や問題意識を高められたら必ず面白い道が開けるでしょう。信じる道を突き進んで、自分からぶつかっていけば、どこかで誰かとつながってきます。SFCのキャンパスは、点と点をつなげるチャンスがいたるところに転がっている場所なのです。
日本に帰国した今は、コンゴの人たちを対象にしたそばや農業に関する研修プログラムを実施しています。これを効果的なプログラムにすべく、オンラインの遠隔講義を実施するのが当面の目標。SFCの多種多様なバックグラウンドを活かし、幅広いテーマにわたるレクチャーシリーズも考案中です。