吃音に悩む人たちに演劇ワークショップを通じて
不安と向き合う場を提供したい
高橋 拓也 Takuya Takahashi
学部:環境情報学部4年
出身校:水戸葵陵高等学校(茨城県)
私は、高校1年生のときに吃音を発症し、他者との社交不安に悩んできました。
しかしその後、大学のサークルで演劇に取り組んだことで、吃音に対する不安感を改善する ことができました。
こうした体験から、「吃音に対する演劇の有用性」を研究テーマに選びました。
吃音の発症率は約1%で、日本では120万人、そのうち約40%に社交不安障害があるといわれています。
私自身の経験からも、問題は吃音そのものではなく、吃音によって周囲に受け入れられなかった経験や、それにより抱く不安から対人コミュニケーションに恐怖を覚え、その結果として"生きづらさ"を感じてしまうことだと感じています。
私の場合、対人不安の原因は、意識が自分の内面のみに向いてしまうことにあるように感じています。
一方、セリフを話したり演じたりする際には、意識を外に向けることが必要です。私は、この"意識を外に向ける"トレーニングが社交不安を和らげるのではないかと仮説を立て、吃音の緩和に効果を発揮するワークショップの開発に取り組んでいます。
マイノリティや地方に住む人たちにアプローチし、それぞれの「自分らしい生き方」を手助けしたい
この研究テーマを深めていくにあたって、秋山美紀研究会に所属し、「ヘルスコミュニケーション」を学びました。
ヘルスコミュニケーションとは、疫学的な研究アプローチと社会科学的なアプローチによって、人や社会の健康を実現するための学問です。
研究会メンバーは、各人が考える"ヘルスケアを取り巻く問題"を解決するための実践的な研究を行っています。
また、東海林祐子研究室では「コーチング」の視点から示唆をいただきました。
チーム(集団)の力を最大化するためには、どんな働きかけやツールの導入が効果的かを考え、コーチングの能力を養うことを目指しています。
現在は、実際に吃音に悩む方々にインタビューを重ねるとともに、吃音を持った主人公が苦悩の中生きて行く話である「金閣寺」(三島由紀夫原作・宮本亜門脚本)の公演を主宰する予定です。
また、自身がマイノリティの部分を持ち、かつ上京してきた身でもあることから、卒業後は様々な人の「自分らしい生き方」の手助けが出来るような仕事をしていきたいと考えています。