脳と身体の両方のしくみを学び
新しいリハビリ方法を開発する
上野 良揮 Yoshiki Ueno
学部:環境情報学部3年
出身校:春日部共栄高等学校(埼玉県)
「歩くこと」は、多くの人が意識することなく、日常的に行っている行動です。転倒のないスムーズな歩行のためには、下肢のさまざまな筋肉をタイミングよく収縮・弛緩させる必要がありますが、脳卒中を発症することで、脳から足の筋へ適切な指令をうまく伝えることができなくなります。その結果、歩行時に踵からのスムーズな接地が困難となり、転倒につながる運動障害となることが分かっています。神経科学の分野では、電気刺激を用いて筋と筋をつなぐ神経ネットワークに介入し、機能回復を狙うニューロリハビリテーションの応用に注目が集まっています。しかしこの効果は30分程度の一時的なものであり、私は、これを永続的なものとすることを目的とした研究をしております。
SFCで培った幅広い視野とともに
修士課程でリハビリ研究に磨きをかける
SFCに入学した当初、「心」についての漠然とした興味はありましたが、これについて学びたい、というほど具体的ではありませんでした。しかし、「認知科学」や「知覚・認知モデル論」などを履修していくうちに、興味の対象が心を司る「脳」に移っていきました。そこで青山敦研究会に所属して脳について学び始めましたが、脳と身体の関係についても興味が湧き、より深く学びたいと思い、牛山潤一研究会にも所属しました。そして脳と身体の知識を得ていく中でこの知識を脳卒中患者の片麻痺リハビリテーション研究という分野で役立てたいと思うようになりました。
リハビリテーションの研究をするためには科学的な視野だけでなく、実験の解析に用いるプログラミングや、患者や彼らを取り巻く人々の環境を考える公共政策などの知識、視野も必要であると考えています。これらの分野を専門とする先生はSFCに多く在籍しており、また、リハビリテーションの研究を専門とする医学部や理工学部の方々と関わる機会にも恵まれ、彼らから多くのことを学んでいます。自分の学部生活で培った知識・知見と幅広い視野とともに修士課程に進学し、研究に磨きをかけていきたいと思います。