2012年6月8日、北京市第四中学(北京四中)の高校2年生百数十名がSFCを訪れました。
北京四中は1907年に創立された、中国全土で最も有名と言われる公立中学・高校です。生徒の96%が北京大学や清華大学を中心とする全国重点名門大学に進学し、大学卒業後、70%は国務院(政府)、共産党、人民解放軍の幹部となり、また著名な企業家や、科学者、文学者、芸術家として活躍する卒業生も多い学校です。
今回の来日は「2012年 日本修学旅行」によるもので、SFCには「東京団」の生徒たちが訪れました。
朝、SFCに到着した一行は、SFC生を中心とする塾生による温かい出迎えを受け、Θ館で、國領総合政策学部長による慶應義塾やSFCの紹介、萩野環境情報学部教授によるGIGA(Global Information and Communication Technology and Governance Academic) プログラム の紹介を受けました。北京四中の生徒からは、「欧米の優秀な大学と比較した場合の慶應義塾大学の強みや売りは何か」との鋭い質問がありました。また、「GIGAプログラムはICTとガバナンスを融合した研究領域とのことだが、それは実社会でどのように有用なのか」との質問もあり、両教授からはICTを単なる技術として学ぶのではなく、現代社会が抱える複雑な要因が絡み合った課題をどのようにICTを用いて解決できるかを考え、現実の社会においてその解決方法を試し、試行錯誤を重ねながら課題解決を行うことに意味があることが説明されました。
続いて10グループに分かれ、塾生の案内によりキャンパスツアーが行われました。Θ館では緊張した表情を見せていた生徒たちも、明るい日差しの中で笑顔を見せながら、楽しそうに塾生の説明に耳を傾けていました。
更に場所をΩ館に移し、今度はSFC研究所日本研究プラットフォーム・ラボ の活動の一環として塾生とのディスカッションが行われました。まず、加茂総合政策学部准教授(同ラボ共同代表)がグラフ等のスライドを用いて、「日中間の輸出入額と人的交流は2000年を境に急速に増大している。国際関係論の歴史的な経験則にもとづけば、二つの国家間の相互依存の深化は両国関係の緊密化をもたらすが、日中関係においてその様子は異なっており、近年、日本人の対中国認識は悪化している。これについてどう考えるか。」との問いを投げかけ、グループ毎に塾生を交えたディスカッションが行われました。中国からの留学生を中心とする塾生とのディスカッションは、母国語での会話であること、年齢も近いことなどから、北京四中の生徒にとって親しみやすかったのか、高校生・大学生ともに非常に熱のこもったディスカッションが行われ、もっと多くの時間があればなおよいのに、と誰もが思うほどでした。
今回の「東京団」の修学旅行では、名所旧跡訪問のほか接客等職業体験、高校訪問、首相官邸訪問も行われたそうですが、中でもSFC訪問は生徒たちにとって、非常に刺激的で有意義なものとなったようです。
発信者: 学事担当 国際グループ