MENU
ニュース
2015.06.29

総合政策学部 井庭崇准教授と井庭研究室の研究成果が書籍化されました

News_Iba0.jpg

総合政策学部 井庭崇准教授と井庭研究室が作成した「認知症とともによりよく生きる」工夫をまとめたパターン・ランゲージが書籍として出版されました。
 

News_Iba1.jpg

井庭研究室では、昨年、認知症とともによりよく生きることを実践する工夫をまとめたパターン・ランゲージ 『旅のことば — 認知症とともによりよく生きるためのヒント』を制作しました。これは、認知症を受け入れつつよりよい人生を生きるために、本人、家族、周囲のそれぞれが、具体的にどのような行動を起こすことができるのかを記述したものです。これにより、認知症であってもいきいきと暮らしている人たちの「前向きで実践的な工夫」を広く紹介・共有し、多くの方がより前向きに暮らしていけるようになること、また、認知症とともに生きることについて社会的な対話を促すきっかけをつくることを目指しています。
 

 

 

 

 

News_Iba2.jpg

News_Iba3.jpg

News_Iba4.jpg

News_Iba5.jpg

井庭崇准教授のコメント

 
現在、日本の65歳以上の方のうち、軽度の認知障害をもつ方までを含めれば、その数は800万人を越えると言われています。65歳以上の約4人に1人、日本人全体でみると約15人に1人という計算になります。このような時代背景を踏まえ、本書は、認知症だと診断されたのちに「認知症とともによりよく生きる」ための「前向きで実践的な工夫」をわかりやすく共有できるかたちでまとめました。
 
制作にあたっては、井庭研究室の学生とともに、認知症のご本人やご家族の方々にインタビューを行い、そこから前向きな工夫を抽出し、言語化しました。内容・文章だけでなく、イラストや表紙のデザイン、ページレイアウトなどもすべて学生とともに自分たちでつくりました。
 
こうして制作した冊子を昨年11月に行われた Open Research Forum (ORF) 2014等で発表したところ、認知症の方やご家族からの問い合わせ・反響がとても多くありました。このような経緯があり、今回の出版に至りました。
 
本書は、「パターン・ランゲージ」の考え方と方法にもとづき、制作されています。パターン・ランゲージは、実は建築の分野で考案され、ソフトウェア開発の分野で発展した方法です。このパターン・ランゲージの方法を、井庭研究室では人間の活用にも応用できるように研究を続けてきました。「旅のことば」は、パターン・ランゲージのなかでも世界で初めて福祉分野に応用した第一号の成果です。
 
今回『旅のことば』が書籍として出版されたことで、全国のより多くの方の手に届き、前向きな気持ちと笑顔を増やすことにつながるならば、とてもうれしく思います。
 
 
 
●『旅のことば — 認知症とともによりよく生きるためのヒント』(井庭 崇, 岡田 誠 編著, 慶應義塾大学 井庭崇研究室, 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ 著, 丸善出版, 2015)