SFC研究所 W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)が2016年のテクノロジー&エンジニアリング・エミー賞を受賞し、1月8日にアメリカ・ラスベガスで開催されているコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)会期中の同授賞式に出席しました。
テクノロジー&エンジニアリング・エミー賞は1948年にアメリカに設立された放送業界における技術開発及びイノベーションを評価するもので、放送技術の発展に著しい貢献をした企業や団体に対して授与されます。このたびW3CはW3CTTML(Timed Text Make-up Language )技術を用い、映像に字幕やキャプションを組み合わせてコンテンツを組み立てることで、より映像コンテンツにアクセスしやすくする技術が評価されました。
W3Cは、ウェブ標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムです。
米国のマサチューセッツ工科大学、フランスの欧州情報処理数学研究コンソーシアム、中国の北京航空航天大学および日本の慶應義塾大学SFC研究所により共同運営されており、現在400を超える組織が本コンソーシアムの会員として参加しています。
SFC研究所W3C代表 村井純 環境情報学部長 コメント
このエミー賞は、テレビ番組やテレビを支える技術などに与えられる賞です。今回W3C勧告として開発された技術TTMLが受賞したことはテレビとインターネットの新しい時代を象徴する出来事です。TTMLはW3Cが長い間追求している、「すべての人と情報を共有する」というウェブの理念を、ダイナミックに流通する動画の音声部分を理解するためのキャプションや字幕を提供する技術です。ブラウザを搭載したテレビ、タブレット、スマホなどで動画を表示するときに、音声部分を文字起こししたものを音声と同時にそのまま、或いは編集して表示し、希望する視聴者に追加情報や解説情報を提供します。この技術は、耳の不自由な視聴者や高齢者が、笑いや悲しみ、感動などをすべての人に届けたいという私達の願いを実現させるとともに、人の集まる公共空間や商業施設のサイネージで災害情報などの放送の音声部分を確実に人に届けること可能にし安心で安全な新しい社会に役立ちます。今回の受賞はウェブを全ての人に届けるというW3Cの使命が広く認識される機会になりました。W3C/KEIOでは、昨年策定されたHTML5の標準化に日本語の縦書きを組み入れるなど、ウェブの世界が本当に全ての人に貢献できるように世界のW3C組織とともに活動を行っています。
発信者:湘南藤沢事務室総務(広報)担当