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2016.10.20

徳田研究室と藤沢市がスマートシティ技術を活用し、スマートフォンなどの端末を通じて市情報のリアルタイムな収集・共有を行うことで、ゴミ・資源収集、道路の管理などを効率化

 徳田研究室と藤沢市は、スマートシティ技術を活用してゴミ・資源収集などの行政業務を効率化する「藤沢みんなのレポート(通称【みなレポ】)」システムの運用を平成28年10月より開始しました。「みなレポ」は、市職員の行政業務に関わる都市データの「収集」と「理解」を、市職員が持つスマートフォンやタブレット端末を通じて市職員自身が収集するとともに、収集したデータのラベル付けを行なってもらい、蓄積されたデータに対してリアルタイムな分析を実施します。これにより、
(1)これまでデータ化がなされていなかった市職員の業務上の発見・知識をビッグデータとして知の情報財とし、
(2)収集したデータを業務関係者で迅速に共有することで行政業務の効率化を行うと共に、
(3)蓄積されたデータを分析し知識とすることで新たに発生した事象に対する理解・対応を瞬時に行うことを目的としています。
 「みなレポ」は、SFC研究所が構築・運用を進める「スマートシティ基盤*1」を用い実現されています。本基盤では、実社会から生成されるリアルタイムデータを含む異種データに関して、データ連携・流通・分析・格納・可視化を含む、スマートシティを構築するための重要な機能群を提供しており、構築された技術はオープンソースソフトウェアとして公開されています。「みなレポ」では同基盤技術のデータ連携・流通技術を用い、市職員が持つスマートフォンやタブレットから藤沢市内で発生する行政業務を遂行する上で重要な事象を収集・共有することを可能にしています。
 具体的には、藤沢市のゴミ・資源収集などの業務に関わる、「集積所の管理」、「集積所の不適正排出」、「不法投棄」、「落書き」などの情報を、写真やコメントともに収集、担当職員間のみでセキュアかつ迅速な共有がなされます。また、水害時の「道路の冠水」、「通行止め」などの危険情報の集約に活用できると見込まれます。同基盤はすでに藤沢市で実証実験を行っている「清掃車センシング」にも活用されており、異種デバイス・異種データソースからの無数のセンサ情報を、共通APIを用いて容易な収集・分析を行うことが可能となっております。「みなレポ」では、特に市職員による情報収集という、「市業務のプロフェッショナルによる参加型センシング」に焦点が当てらており、本実験の取り組みでは、
(1)行政側として、業務改善にスマートシティ技術がいかに役立つか、また
(2)大学側として、研究開発成果の評価および今後の改善の指針
を検証するものとなっています。

1.藤沢市環境部職員が利用するiOS/Androidアプリケーション「藤沢みなレポ」

環境部の職員は、iOSおよびAndroidデバイスにインストールされた「藤沢みなレポ」アプリケーションを用い、行政業務上遂行に重要となる市内の情報を収集・共有することができます。同アプリケーションでは、収集する情報を、その属性情報や詳細なコメント、対応の緊急レベル等と紐付けることが可能となっています(図1)。
収集された情報は業務上即時に活用されるとともに、蓄積・分析を行うことで、知の情報財とした様々な活用が期待されます。

 

図1:「藤沢みなレポ」アプリケーションの動作スクリーンショット(iOS版)

図1:「藤沢みなレポ」アプリケーションの動作スクリーンショット(iOS版)

 

 

  

 

2.収集されたデータの可視化、必要な業務の管理を可能とする「藤沢みなレポビューワー」

収集されたデータはリアルタイム・センサデータとして即座に職員内で共有され、Webビューワーを通じ詳細情報の閲覧、情報に関する議論や、対応が必要なタスクの管理などを行うことができます(図2)。

 

図2:「藤沢みなレポビューワー」の動作スクリーンショット

図2:「藤沢みなレポビューワー」の動作スクリーンショット

 

     

     

     

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、本システムに活用しているスマートシティ基盤は、国立研究開発法人情報通信研究機構((以下、NICT) 理事長:坂内 正夫、本部:東京都小金井市)の委託研究「欧州との連携による公共ビッグデータの利活用基盤に関する研究開発」の中のプロジェクトBigClouT*2の一部として研究開発されたものです。

*1 http://www.sfcity.jp

*2 http://bigclout.eu

 

慶應義塾大学徳田研究室

配信元:湘南藤沢事務室学術研研究支援担当