村井 純 環境情報学部教授/学部長が、一般社団法人情報技術委員会による平成29年度情報通信技術賞総務大臣表彰を受賞しました。
一般社団法人情報通信技術委員会は情報通信ネットワークに係る標準を作成することにより、情報通信分野における標準化に努めるとともに、その普及を図ることを目的に設置されました。平成16年度よりその目的に対する多大な貢献への表彰を行っています。
村井教授はインターネットの創成期である1980年代からインターネット技術の国際標準化を推進しているIETF(Internet Engineering Task Force)の活動やその上位組織であるISOC(Internet Society)の創設、W3C (World Wide Web Consortium) のウェブ環境の標準化を含むインターネットの技術基盤作りに尽力するとともに、インターネットガバナンスの確立に多大な貢献をし、さらに、今日に至るまで標準化人材の育成を図るなど、日本及び世界のインターネットに関する国際標準化の推進及び普及に大きく貢献したことが評価され、このたびの表彰に至りました。
村井 純教授/学部長 コメント
技術の国際標準化の活動は、技術そのものの設計や実装に加えて、頻繁にある世界中で開催される会議への参加、そこでの議論と説得や取引などの調整、準備段階で異常な時刻に開催される遠隔会議、ひっきりなしのメールでの対応を経て、沢山の文書を執筆するのが普通である。こんな状況なのでISOやITUなどの(デジュール)国際標準には、通常国や会社の使命を帯びた大企業の技術者が携わるのが普通で、本人の技術と情熱だけでなく、国や企業の支援も重要になる。
一方、インターネットやデジタル技術の標準化は、いわば、非デジュール標準化であり、個人や特定技術の業界で定められるものが多く、標準化活動への参加の支援体制が確立していなかった。
IEEEやMPEGなど有名な業界標準の活動やIETFやW3Cなどのインターネット標準はこれからますます重要なグローバル標準技術であり、この度、国の情報通信技術の体制としてもこれらの活動を応援するための体制が開始されることになった。
新しい体制の一つの表現として、従来デジュール標準への貢献者に授与されていた一般社団法人情報技術委員会の総務大臣表彰の対象を拡げることになった。私がIETFやW3Cの標準活動への貢献としてこの表彰を受けることになったのは、次の世代が勇気と自信をもって取り組めることを推進するための、先頭ランナーとしての誉かと思う。
共にIETF標準の研究開発活動に携わってきた仲間たち、今回の表彰に関わっていただいた方々、W3Cの拠点であることなどインターネット開発を支援していただいた慶應義塾に改めて感謝をしつつ、未来への伝承を約束したい。
発信元:湘南藤沢事務室総務(広報)担当