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2019.12.11

Web上で様々な言語の書字方向での記述が可能に「CSS Writing Modes Level 3」がW3C勧告

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慶應義塾大学SFC研究所が世界の研究機関とともに運営しているW3C(World Wide Web Consortium)は12月11日、CSS(Cascading Style Sheet)「Writing Modes Level 3」を正式にW3C勧告(REC/Recommendation)とすることを発表しました。この仕様によりWeb上のテキストを水平または垂直にレイアウトすることや、行送りの方向の設定が可能となります。 各言語の要望を世界標準として実現した今回のW3C勧告は、さまざまな言語における有識者からなるコミュニティがウェブプラットフォームそのものに変革をもたらした多大なる成果です。


1.幅広い記述言語をサポートするCSS
「CSS Writing Modes Level 3」は、日本語やモンゴル語などで使われるような縦書きの記述をはじめ、英語やヒンディ語などの左から右への横書きの記述、ヘブライ語やアラビア語などの右から左への横書きの記述など様々な国際的な記述方向を実現するためのCSS仕様です。この新たなCSSの機能により同じ横書きでも左右両方向からの記述が混在する場合や、縦書きで記述する言語に横書きの記述を挿入する場合など、記述方向を混在させる場合の表示方法についても規定しています。
また、双方向混在の記述における分離、字形の方向制御、縦書き記述の行中に短い横書き記述の文字列を挿入する機能なども追加され、縦書きにおいては、中国語、日本語、韓国語のような右から左への行送りと、モンゴル語のような左から右への行送りが実現可能となります。


2.さまざまな言語における有識者とコミュニティが、ウェブプラットフォームを変革
世界中の技術者だけでなく、特に日本の各言語グループの専門家による関与は、各種機能の研究、特定、そして実装など全ての作業において必須のものでした。ワールド・ワイド・ウェブを世界中で使用するためにブラウザメーカーにそれぞれの機能を拡張して実装するための調整も、有識者やコミュニティを通して行われました。
W3Cは今回の仕様によるさまざまな言語へのサポートが、それぞれの地域性に沿うニーズを満たすべく、世界中のコミュニティから積極的にフィードバックを受けられるよう間口を開いています。Language Matrix※では、各言語においてサポートが必要とされる分野の領域をヒートマップで示しています。
https://w3c.github.io/typography/gap-analysis/language-matrix.html

W3C Steering Committee(運営委員会)のメンバーである村井純(慶應義塾大学 環境情報学部教授)は、次のように言及しました。
「2004年にW3C CSSワーキンググループがテキストレイアウトの開発に着手してから15年、本日、「CSS Writing Modes Level3」がW3C勧告に到達したマイルストーンとなりました。数え切れないほどの議論や開発、調整、そして日本だけでなく、多くのアジア諸国の協力のおかげで、日本の文化のひとつでもある垂直CSSが、Web上でついに国際的な標準となったのです」


W3C (World Wide Web Consortium)について
W3C (ワールド・ワイド・Web・コンソーシアム)の使命は、世界中の人々にとってWebがオープンでアクセス可能で相互運用可能であることを保証するための技術標準とガイドラインを作成することによって、Webを最大限に活用することです。W3Cは、HTML5、CSSなど広く知られた仕様をOpen Web Platformの理念の元に開発しながら、セキュリティとプライバシーの確保にも取り組んでいます。これらはすべてオープンに開発され、無料で独自のW3C特許ポリシーの下で提供されます。W3Cは、オンラインビデオをキャプションと字幕でよりアクセシブルにするための技術で2016年の技術・工学エミー賞を受賞し、テレビ上での視聴をすべての人に、なおかつアクセシブルとするための技術で2019年にも同賞を受賞しました。
W3Cは、米国のMITコンピュータ科学・人工知能研究所(MIT CSAIL)、フランスに本部を置く欧州情報数学研究会(ERCIM)、日本の慶應義塾大学、中国の北京航空航天大学が共同で運営しています。W3Cが掲げる「One Web」のビジョンの下、400を超える会員組織と数十の業界部門を代表する何千人もの真摯な技術者が集まっています。詳細についてはhttps://www.w3.org/をご参照ください。

【本件についてのお問合せ先】
W3C (World Wide Web Consortium)
URL: https://www.w3.org/Consortium/contact-keio-ja.html
E-mail: keio-contact@w3.org

【配信元】
慶應義塾大学 湘南藤沢事務室 学術研究支援担当


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●日 時: 2020年2月3日(月)14:30 ~ 17:30(終了後、交流会有り)
●会 場: (一社) 情報通信技術委員会(TTC) 2階AB会議室
      (東京都港区芝公園1-1-12 芝公園電気ビル)http://www.ttc.or.jp/j/intro/map/
●主 催: (一社)情報通信技術委員会(TTC) http://www.ttc.or.jp/
      慶應義塾大学W3C(World Wide Web Consortium)https://www.w3.org/
●募集人数:100名(定員になり次第募集を締め切らせていただきます)
●参加費: TTC会員外:2,000円、TTC会員・慶應義塾大学W3C: 無料
●申込方法:事前登録制  https://www.ttc.or.jp/seminar/entry/20200203/form