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2020.04.06

新学期をむかえるにあたって ― 総合政策学部 新入生・在学生のみなさんへ

新学期をむかえるにあたって ― 新入生・在学生のみなさんへ

総合政策学部長 土屋大洋

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。すぐに顔を見ることができないのは残念です。しかし、この特別な大学生活の始まりはきっと一生忘れられないでしょう。
在学生の皆さんも、昨年とは違う春を迎えていることでしょう。社会は常に変化し、歴史は終わらないということです。

従来の科学は、変わらないものを追究する営みでした。普遍的なもの、真実とは何かを追い求めて来たのです。しかし、社会は常に変化し、ひとつとして同じことは起きません。そこに何らかのパターンがあるとしても、そのパターンすら変わっていきます。

変化する社会における問題に取り組むために湘南藤沢キャンパス(SFC)は創設されました。総合政策学が対象とするのはかけがえのない社会です。かけがえのない社会に対して我々は実験をすることができません。実験を繰り返し、効果を確かめてから政策を実施するということはできません。限られた経験と知識を元に未来を展望する智慧を使って総合的に判断し、政策を立案・実施しなくてはなりません。その際には環境情報学部が得意とする技術とデザインの視点や看護医療学部が得意とする心と体のウェルネスの視点も取り入れるべきでしょう。

新型コロナウイルスが引き起こす問題に、各国の政府は苦悩しながら政策を考え、実施しています。それを外部から後知恵で批判することは簡単です。しかし、皆さんが政府の中枢で働き、皆さんが実施する政策ひとつによって多くの人の生活と安全が一変するかもしれないとしたら、どうでしょうか。変化に対応できず、取り残される弱者を助けることはできるでしょうか。

総合政策の学徒として、変わりゆく局面の中で最善の政策とは何なのか、それをどうやって実現したら良いのか、政策決定者の立場になって考えてみてください。企業の経営者や非営利組織のリーダーたちにとっても難しい時代です。どうしたら組織の使命を維持できるか、雇用を守れるか、信用を守れるか、大きな課題に直面しています。

そして、政策を伝えるのは言葉です。世界の人たちを理解し、協力するためにも言葉が大事です。安易な批判に身を任せず、より良いコミュニケーションの形成に参加してください。

状況が改善するまで、皆さんは、力を養いながら、自分の活躍する機会をじっと待たなくてはなりません。今すぐに何かができなくてもかまいません。皆さんが力を発揮しなくてはならないときが必ず来ます。その時に備えてください。

私たち教員もできる限りの努力をします。私たちの使命は、この状況下で最善の教育を安全に皆さんに提供することです。皆さんも貪欲に学んでください。皆さんとは、まずサイバー空間でお会いすることになります。これまでにない新たなキャンパス空間を一緒に作り上げていきましょう。