環境情報学部准教授 松川 昌平研究室の岩見 遙果さん(受賞当時:政策・メディア研究科修士2年)がトウキョウ建築コレクション2021【全国修士論文展】において審査員賞である岡部明子賞を受賞しました。
トウキョウ建築コレクションでは、建築学を専攻する大学院生による修士設計・修士論文を集めた全国規模の展覧会及び公開講評会を毎年行っています。2007年から始まり、今年で15年目を迎えました。全国から修士設計・修士論文を募り、一次審査を通過した設計・論文それぞれ10点程度が代官山ヒルサイドテラスにて展示されます。
岩見さんが執筆した修士論文「再生砕石を用いた乾式コンクリートの研究」が審査員賞である岡部明子賞に選出されました。鉄筋コンクリートの解体のしにくさに着目し、針金とコンクリート廃棄物を乾式で接合することで、解体・再構築可能なコンクリートをつくる試みです。
岩見 遙果さん(政メ修2)の受賞コメント
トウキョウ建築コレクションは私にとって、全国の建築学を学ぶ大学院生の研究が集まる憧れの舞台でした。毎年、一次審査を通過した作品・論文が書籍にまとめられ、出版されています。学部生の頃にこの書籍を読んで、6年間の集大成の熱量に圧倒されたことを覚えています。
私の研究は、コンクリートの生成と分解の速度のギャップに着目し、コンクリート廃棄物を用いて解体・再構築可能なコンクリートのようなものを作るというものです。具体的には、針金を編んで籠を作り、その中にコンクリート廃棄物の石ころを詰める方法で、不要な石ころから意図した形を自由につくり、簡単に壊すことができる方法を提案しました。
講評会で印象的だったのは、審査員の一人である岡部明子さんが「これが欲しいと思った。」とおっしゃったことでした。建築物の基礎施工などで余ったコンクリートは捨てにくく、それを用いて自由に形を作ることができ、容易に壊すことができるのなら便利で使ってみたいという意見でした。それは、地球上におけるコンクリートの循環というスケールの大きなリサーチからこの研究を始めた私にとって少し意外な意見でした。この時、個人の身に起こる出来事と地球規模で起きている出来事は地続きであると実感を持って気づけたことがとても嬉しかったです。
トウキョウ建築コレクションに限らず、多くの建築系の作品・研究の講評会は毎回審査員が異なります。審査員が異なれば審査基準が変わるため、当然評価も変わります。それは水物と言ってしまえばそうなのですが、大切なのはひとりの人間がそのように判断した理由だと思います。なぜその作品・研究が評価されたあるいは、されなかったのか。それを理解することで、自分の取り組んできたことの輪郭がおぼろげながら見えてくるのだと改めて実感する機会になりました。
【結果発表】トウキョウ建築コレクション2021【全国修士設計展・全国修士論文展 】
発信者:湘南藤沢事務室 総務担当